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2009年6月19日金曜日

ガラス瓶の中の生態系 定点観測(1)

 ひと月ほど前に、ガラス瓶の中に小さな生態系を作りました。それぞれ、若干環境を変えてあります。環境の内約は以下を参照してください。
 目的は、生態系の変動するデータの収集、バランス観測および研究です。ガラスで密閉されている環境内は物質の出入りがなく、生態系のバランス移行はすべて、最初に設定したガラス内の物質と生物、そして変化する日光と温度に依存します。
  例えば、エコノートであるヤマトヌマエビが死ねば、排出するCO2が少なくなって植物の光合成が弱まり、酸素が減ります。それによって、ガラス内の全ての 生物が死んでしまうかもしれません。しかしそれは逆に、初期設定した環境に適応できなかった生物の淘汰によって環境がバランスを取り戻すことを示すのであ るかもしれません。
 目で観ているだけでも楽しめますが、目では見えないデータを収集するために、Arduinoとセンサを使用します。












参考
Make: Technology on Your Time Volume 04
MAKE: Japan: Biology Archives


【初期設定(環境データ)】5月5日

共通項目

 1.脱塩素済みのバクテリア入り水1リットル
 2.水生植物 数種
 3.川砂利 数個
 4.アサリの貝殻 数個
 5.流木、もしくはプラスチックのオブジェ

環境1

  設置場所   家の東側の窓際
  底泥     多摩川の汽水域で採取した泥
  エビ     ヤマトヌマエビ(エコノート)1匹
  ヨコエビ  (数ミリの小型甲殻類)8匹
  巻貝     4匹

環境2

  設置場所   室内の光のあたらない暗箱内(LEDライトを 赤9 : 青1の割合で一日16時間照射)
  底泥     千葉県印幡沼付近の水田で採取した泥
  エビ     ヤマトヌマエビ(エコノート)1匹
  ヨコエビ  (数ミリの小型甲殻類)8匹
  巻貝     4匹

環境3

  設置場所   家の東側の窓際
  底泥     ヨコエビ生息地のライブサンド
  エビ     ヤマトヌマエビ(エコノート)1匹
  ヨコエビ  (数ミリの小型甲殻類)8匹
  巻貝     4匹

環境4

  設置場所   家の東側の窓際
  底泥     多摩川の汽水域で採取した泥 ヨコエビ生息地のライブサンド
  エビ     ヤマトヌマエビ1匹 ミナミヌマエビ1匹
  ヨコエビ  (数ミリの小型甲殻類)16匹
  巻貝     6匹

 環境1と環境2では、唯一の外部要素である光に焦点をあてて観測します。日光と比較して、LEDライトによる光合成では生態系は維持できるのか。途中でLEDの色や配分、照度を変えてみたり。
 環境3では、底泥のかわりにヨコエビの生息地であった砂を使用します。見た目では微生物が底泥よりも少なそうなので(完全に主観)最もわかりにくい微生物の作用がどれほどであるのかを他の環境と比較します。
 環境4では、本来よりもあえて生物の数を2倍にして、過度の密集した生物バランスでなにが起きるのか観測します。


収集したいデータの種類

 水中のPh値
 気温
 水温
 酸素(できれば水中)
 二酸化炭素
 瓶内の湿度
 瓶内の光の照度


【途中経過報告】6月20日

環境1














日光のあたる時間帯は酸素が水草の葉から泡となって吹き出しています。










巻貝は現時点で4匹とも生存確認。










浮草が枯れて来ています。












環境2
設置した環境の中で、水草や苔の繁殖が進んでいる。
エコノートであるエビが死んでしまったので、LEDによる光合成はまだ開始していません。












写真ではわかりにくいですが、ガラス瓶の表面は苔の色でうっすら緑色をしています。













これもわかりにくいですが、設置した4つの環境のなかで唯一ヨコエビの姿が確認できました。写真中央ちょっと左、ちょっとしたあたりのしろい粒みたいのが
ヨコエビです。








浮草はやはり枯れて来ている。酸素の泡がみえるので、光合成はまだしている。











環境3
生物密度はおそらく最も低い。













巻貝は現時点で3匹確認。もう1匹は未確認。























環境4
生物密度が最も高い。













巻貝は現時点で5匹確認。もう1匹は、未確認。










浮草はやはり一部枯れている。












 五日目に環境1と環境2、環境4のヤマトヌマエビが1匹死亡し、七日目に環境3と環境4のヤマトヌマエビが死亡しました。計測装置を設置する前に全滅してしまったので目測による考えしかできませんが、直射日光による水温の上昇が原因であると思われます。水温計は昼間で30℃を上下していました。ヤマトヌマエビに適している水温は21℃〜27℃です。
 その後、環境2の巻貝が1匹死亡し、微生物によるエビと巻貝の分解が始まったようです。ヤマトヌマエビは1週間後には身体がバラバラになり、殻をのこして底泥に消えました。巻貝は身体から妙な植物が生えだし、2週間後には殻ごと底泥に消えてしまいました。どうも、環境2の微生物およびバクテリアの力が強すぎる気がします。現時点で、ヤマトヌマエビと巻貝の姿が確認できないのはこの環境だけです。ガラス瓶内の生物が多ければ酸素の消費量も増えますが、排出されるCO2を吸収する植物の量はどの瓶でも変らないため、酸素消費量の一番おおいエビと巻貝が姿を消してゆきます。
 全体的に、水草の量が増えています。しかし、CO2を排出する生物が減っている為、浮き草、水草には茶色に変色している部分がかなりみうけられます。あと、初期に設置した生物の密度がどの瓶も高すぎたようです。浮き草と水草はもっと少なくてよいし、微生物を含む底泥はもう少し量を減らすべきでした。それに、計測できていないPh値が気になります。


【今後の予定】

 現時点でのデータを利用し、もっと生物密度を低くしてもう一度環境を設置しなおします。現時点で用意できるセンサは光、気温、水温程度ですが、なるべく早めに設置して観測を再開します。
 暗箱も設置してLEDのみの環境も作成したいと思います。

データに関して

 とりつけたセンサを、Arduino のEthernetShildを用いてwebサーバにアップ後、同じくアップしたprocessingスケッチによりデータを取得、視覚化を行います。webブラウザからアクセスできる環境視覚化アプリ作成を予定しています。



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